これまで全国様々な磯や堤防を釣り歩き、12.9kg、13.5kg、14.9kg、18kgをはじめとして様々なクエ(アラ)を釣ってきました。
超高級魚とも呼ばれる通り、釣れないことの方が多いクエ釣り。10回連続ボウズ、なんてことも珍しくはないです。
今回は大物釣りの中でも、超高難易度ながら魅力度も最高峰の「クエ釣り」に関する基礎知識を徹底解説していきます!
クエ(アラ)の生態・特徴
サイズ:最大130cm・重量は40kg超にもなる
クエ釣りが魅力的な理由は、まずサイズにあります。いわゆる真クエの場合、最大130cm超、重量はなんと40kg超にもなります。
最大30kg〜40kgを超える巨体でありながら、GTなどと違い根魚のため、掛かった瞬間に凄まじい勢いで根に突っ走ります。
南方に生息するヤイトハタやタマカイになると全長2m、体重は100kgを超えるサイズも確認されています。
そのため、人間がぶら下がっても折れない竿、人が引っ張っても切れないライン・・・という常軌を逸した釣具で狙います(笑)
さらに真クエは鍋の時期になるとkg単価が1万円を超えます。単純計算、30kgを釣れば30万円以上で取引されるということです・・・!
最大サイズの大きさ、魚体の市場価値、難易度、そしてクエを狙う頑丈なタックル・・・。文字通り、全てが最高峰の魚です。
生息域:関東は伊豆〜沖縄周辺まで幅広く生息
▼クエ釣りで有名な全国のポイント |
- 関東:伊豆周辺・伊豆諸島
- 中部:島根県隠岐島
- 関西:南紀和歌山
- 四国:高知・愛媛南部
- 九州北部:壱岐・対馬・五島列島
- 九州南部:鹿児島県地磯・薩南諸島
- 沖縄:全域
超高級魚のクエですが、実は全国様々な場所で狙うことができます。
近年、海水温の上昇で青森県や新潟県佐渡島でも確認されているようですが、生息数を考えると伊豆が北限といってもいいでしょう。
クエ釣り場として全国で有名なのは、伊豆周辺、島根県隠岐島、南紀和歌山、四国南部、九州全域、沖縄県全域です。
生態:日中は巣に潜み、夜間に餌を求めて周囲を回遊する
クエは基本的に日中は巣の周辺で過ごし、夜になると餌を求めて回遊します。
基本的に夜釣りのほうが警戒心が緩むため有利ですが、潮通しがよく水深がある釣り場などでは、日中でも関係なく釣れます。
産卵に絡む時期以外は巣から大きく動くことは少ないようで、クエが着く巣は大体決まっている・・・なんて話もダイバーから聞いたことがあります。
△クエ釣りで最も定番の餌は冷凍サバ
食性は肉食で、海底付近に潜むグレなどの魚、カニなどの甲殻類、タコやイカなどの軟体生物を中心に捕食しています。
生体・死体問わず捕食しますが、一度餌を食べると一週間程度は他の餌を食わないケースもあるそうです。
これは仮説ですが、クエが釣れない状況でも周囲に魚は存在しており、単に口を使わないだけというケースが非常に多い気がしています。
クエ釣り用タックル | 大型を想定して専用タックルを用意すべし
▼クエ釣り専用タックル |
- ロッド:クエ釣り専用ロッド MH〜HH 4m〜5m
- リール:大型トローリング用リール
- ライン:ナイロン80号〜120号
本気で大型クエを狙うなら、専用タックルが必要です。最も大きな特徴は、頑強かつ地面に固定できる仕様になっていること。
30kgオーバーのクエは人力で勝負できるサイズではないため、後ほど解説する「竿受け」に固定して狙うのが一般的。
ちなみにクエ釣り専用ロッドは最低7万円〜高いものだと40万円以上します!一つずつ解説していきます。
ロッド | 板バネ・竿受けにセットできる頑強な専用竿
▼クエ専用竿に必要な要素 |
- 人がぶら下がっても折れないパワー
- 専用の竿受け(板バネ)に装着可能な竿尻
- 長さ4.2m以上
大型のクエを釣るにあたり、最重要となるのが強烈な引きをいなし巨体を水面まで上げられる、クエ釣り専用竿を用意すること。
掛かった瞬間に根に突っ込む30kg、40kgの魚を人力だけで釣り上げるには限界があるため、地面に固定して釣るのが一般的です。
その他、なるべく折れる確率を低くするためグラス含有比率が高い、先経・元経が太いなどいくつか特徴があります。
▶︎【磯】大型クエ(アラ)釣り専用のロッドの選び方 | 大型クエを獲れるおすすめ竿はこれだ!
リール | ナイロン60号〜100号が100m巻けるもの
▼クエ用リールに必要な要素 |
- 必要なラインが最低100m以上巻ける
- 最大ドラグ力10kg以上
ロッドと比べると、ある程度妥協できるのがクエ釣り用リール。よく使われているペンのリールは、中古だと3万円以下で購入できます。
釣り場に合わせて、ナイロン60号〜100号が100m程度巻ければOK。20kg以下が大半の釣り場ではさらに小さいリールでも可能。
こちらも何種類かモデルがあって、それぞれ様々な番手が用意されているので釣り場に合わせて選ぶのが一般的です。
ライン | 人力では切れない糸を使う
▼クエ用ラインに必要な要素 |
- 人が引っ張っても切れない強さ
- 長さは最低100m以上
- 根に擦れても切れにくい根ズレ性能
クエ釣りでは根ズレに強いこと、糸が伸びてクッション性能が高いことなどから、ナイロンラインが一般的によく使われます。
ナイロン以外にも、極太PEラインであるイソハンター、対根ズレ性能最強のシーハンターなども存在します。
いずれにしろ、共通することは「人が引っ張った程度では切れないこと」で、号数としては60号〜120号を使います。
板バネ・竿受け | 対大物には必須
クエ釣り用のロッドで最も特徴的なのが、地面に竿を固定して釣り上げるという点。専用の石突というパーツがついています。
この固定具も大型を釣り上げるためにとても重要なアイテムで、一般的に巨大魚の引きを吸収する「板バネ」が使われます。
車の板バネと同じ原理で、竿が曲がったと同時に板バネも適度にしなり、衝撃を吸収します。竿のパワーを120%活かせるアイテムです。
仕掛け | 自作して場所に向いたものを作る
- 瀬ズレワイヤー:ワイヤー#28〜#30号
- ハリスワイヤー:ワイヤー#30〜#32号
- 針:スーパームツ40号〜50号 or クエ針40号〜50号
- オモリ:次世代型鉄オモリ ウェイロン40号〜60号
次に仕掛けですが、他の釣りと違ってクエ釣り用の仕掛けは販売していないことが多く、自分で作るのが一般的です。
ベタ底を狙うので、少しでも根ズレで切られることを避けるためにワイヤーを使用し、針も曲げられないよう専用のものを使用します。
必要な道具や作り方など大変なので別の記事で解説するとして、自分が使っている仕掛けは下記です。
使用する仕掛けは釣り場によって使い分けますが、一般的には「ベタ底仕掛け」もしくは「宙釣り仕掛け」を使います。
※どうしても根掛かりすることが多い釣りなので、有害物質の鉛オモリではなく環境に優しい鉄オモリの「次世代型鉄オモリウェイロン」を使用しています。
餌・撒き餌 | 基本は冷凍サバ
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- 冷凍サバ
- メジカ(ソウダガツオ)
- マイワシ
- アオリイカ・ヤリイカ
クエの生態で解説したとおり、基本的には雑食の魚なので現地で釣った魚や活き餌の泳がせでも釣れます。
ただ確保のしやすさ、価格、撒き餌にすることまで考えると、「冷凍サバ」を使うのが一般的です。
まず手に入りやすい餌を使うのがベターですが、他にも食い込みの良さ、餌取りへの強さなどで種類を選びます。
道具・小物類 | 他にも色々必要です
- 根掛かりカッター
- 根掛かりカッター用のサブタックル
- クエ用ストリンガー
- エア抜き
- ボルト、ナット、モンキーレンチ
- アイボルト
- クエ用尻手ロープ
- ハンマードリル
クエ釣りでは専用ロッドや板バネ以外にも、様々なアイテムが必要です!これらを買うだけでも数万円はします(笑)
全て解説するのは別記事に譲るとして、ざっくりリストとしてはこんな感じです。一つずつ揃えていきましょう。
大型クエ釣りで少しでも釣果を上げるコツ
ポイントの選び方 | 実績を最重視します
さて!ここからはいよいよ、大型クエを少しでも多く釣るコツを今までの経験から解説していきます。
クエの生態でも解説したとおり、基本的に根に着いたら大きく離れない魚なので、最も重要なのは「ポイント」だと考えています。
ただし生息数が少ない魚なので、場所を特定するのは至難の業。そこで情報として一番参考になるのがすでに釣れている実績です。
Googleで「⚪︎⚪︎(地域名)+クエ釣り」などと調べると釣果情報が出てくるので、まずは積極的に情報収集してみましょう。
クエ釣りに向いた潮汐や月齢は?闇夜が釣れるの?
△過去の釣果を見ると、闇夜のほうが釣れていた
次に、クエ釣りで重要と言われる潮周りと月齢に関して。結論、特に潮汐はポイントによって大きく影響が変わるという印象です。
例えば地磯・堤防は潮が動きづらいため、大潮周りがベスト。逆に潮通しがいい場所では潮が早すぎて釣りになりません。
また新月・満月どちらが釣れるの?については、個人的には新月闇夜周りが一番釣果が出ていました。
特に潮周りは場所によってどの潮が釣れるか全く変わるので、常連さんに聞くのが一番の近道です。
撒き餌ワークが大切という話
その場にいるクエに少しでも反応してもらうのに、一番効果的なのは「撒き餌を入れること」です。
撒き餌はただ周囲にいるクエをおびき寄せるのではなく、様々な効果があります。主な効果は下記3つだと考えています。
- 周囲にいるクエの活性を上げる
- 回遊してきたクエを足止めする
- 餌取りの活性を上げ、クエに気付いてもらう
- 遠くにいるクエを針近くまでおびき寄せる
特に上2つは効果絶大で、例えば過去釣れたクエの中には、口の中にたんまり撒き餌が入っていたことが何回かありました。
つまり針に掛かった餌を食う前に、撒き餌に引き寄せられてしばらく周辺を回遊し、最終的に針についた餌を食ったということ。
それまで数時間反応がなかったのに撒き餌を入れて馴染んだ瞬間、食ってきたという経験が2度あります。
△餌は多めに用意しておこう
他にも個体数が少ないクエなので、たまたま竿を出した周囲にいるとは限らない。そこでうまく沖に撒き餌を流し、深場から呼び寄せるといった効果もあります。
他にも餌取りが多いポイントだと、あえて小魚に食わせて摂餌行動でクエに気付いてもらう、といった効果も考えられます。
自分がよく通っている瀬渡し船の船長が言っていたのは、よくクエを釣る人ほど撒き餌を大量に用意し、逆に釣らない人は餌が少ないそうです。
※撒き餌をするとクエがお腹いっぱいになるのでは?と疑問を抱く人がいますが、自分としてはいるだろうけども、それよりメリットの方がはるかに多いと考えて撒き餌を入れています。
打ち返し回数を多くする、誘いをかける
すぐ釣り場でできる方法として、仕掛けの打ち返し回数を増やす、誘いをかけるという方法もあります。
基本的にクエは落ちてくるものに反応するため、仕掛けを入れ続けるよりも打ち返し回数を増やす方が釣れる確率が高くなります。
もし根掛かりのあまりしない地形であれば、少し竿を動かして誘いを入れるのも有効。
もちろん地形が激しく根掛かりの多いポイントでは使えませんが、使える打ち手の限られるクエ釣りにはかなり有効な方法です。
また打ち返し回数を増やすことで頻繁に餌の残り具合を確認でき、時合いで確実に餌が残っている状況を作ることも可能。
せっかく魚が目の前にいても、肝心の餌が針についていないという状況は想像より遥かに多いので、実はこの基本ができているだけで釣果が大きく向上します。
確率の低いクエ釣りですが、頻繁に仕掛けを打ち返す、誘いを入れる、撒き餌をする・・・などの方法で少しでも確率をアップできると考えています。
最後に| 気合いと根気が1番大切。釣り場に通いまくろう!
釣果を向上させる方法をたくさん書きましたが、とはいえ個体数が極端に少ない魚なので、最後は気合いと根性だと思います(笑)
つい最近だけでも、10回近くポイントに通ってボウズ続きだったものの、なんとか通い詰めてスタンディングで13.5kgを仕留めました。
クエ釣りだけで相当な時間を注ぎ込んでいるわけですが、十分通い続ける価値がある魚だと思います。
堤防や地磯での小アラ狙いなら専用タックルがなくても始められるので、ぜひ始めてみてください。きっと沼にハマると思います(笑)
引き続き、クエ釣りの様子は自身のYouTubeでも更新していきますので、チェックいただければ嬉しいです!
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