磯・堤防問わずこれまで最大18kgを始め、普段から様々なサイズのクエを釣ってきました。
大型狙いのクエ釣りでは専用の仕掛けを使用しますが、基本的に市販品は少なく、簡単に手に入らないため自作するのが一般的。
瀬ズレワイヤー、ハリスワイヤーと2種類制作する必要があるほか、素材や長さをいくつか作っておくことで状況に応じた使い分けができます。
今回は大型狙いのクエ釣りで使われることが多い3種類の仕掛けと、作り方について解説していきます。
針やハリスの種類を変えれば堤防での小アラ狙い用の仕掛けも作れるのでぜひ参考にしてみてください。
クエ釣りに使われる3種類の仕掛け
△14.9kgのクエに根に潜られたが、ワイヤーを使っていたため釣り上げられた
それでは早速仕掛けの種類から紹介していきますが、いずれも普通のラインではなくワイヤーの使用が基本となります。
根に仕掛けを這わせて使ったり、ウツボにぐちゃぐちゃにされても切られづらい点、魚に根に入られても切られづらい、などが理由です。
生き餌を使う場合はナイロンやフロロのほうが使いやすいですが、死に餌の場合はワイヤーを使った方が良いため、ワイヤー使用を前提に解説します。
基本となる這わせ(ベタ底)仕掛け
クエ釣りで基本となるのは、オモリ側の捨て糸よりハリス側を長く取った這わせ(ベタ底)仕掛けです。
岩や駆け上がりに這わせて使用しますが、ハリス側のほうが長く誘導天秤を使用するのと、底に餌があるため違和感なく食い込ませることができます。
仕掛けの特性上、ゴツゴツした大岩が点在したり根が激しいポイントには向かず、なだらかな地形や斜めに駆け上がりが入っているようなポイントで大活躍します。
この仕掛けは常に針が着底しているのが特徴で、針が根掛かりしないのか?と心配になりますが、ネムリ針さえ使えば想像以上に引っ掛かりません。
なだらかな地形では瀬ズレワイヤーやオモリが回収時に先行するので引っ掛かりずらいですが、狭い海溝やゴロタが点在するポイントでは隙間に入ってしまい根掛かりが頻発します。
また捨てオモリ式と違い、手前でも遠投してもラインの角度によって仕掛けの位置が変化しないので、遠投にも向いています。
まず這わせ仕掛けを使ってみて、あまりに根掛かりが頻発したり岩の隙間に入るような感触があれば、捨てオモリ式の宙釣り仕掛けに変更します。
餌を浮かせて障害物を避けられる宙釣り(捨てオモリ式)仕掛け
オモリの捨て糸を長く取り、針を宙に浮かせた形になるのが宙釣り(捨てオモリ式)仕掛け最大の特徴です。
針を底に着けないため、岩がゴロゴロしているポイントや海溝があるポイントでも針は引っかからず、最悪根掛かりしてもオモリだけ切れて回収できます。
また底に岩が点在していても餌を宙に浮かせる形になるので、アピール力が高いです。生き餌を使った泳がせ釣りでは基本的に宙釣り仕掛けを使います。
一方デメリットは餌が浮いているため潮を受けやすい、針からオモリまで距離があるので流れで仕掛けが流されやすい点、魚が食った時に違和感を与えやすい点が挙げられます。
また遠投してラインの角度が水平に近くなると、宙釣り仕掛けでも餌が着底し這わせ仕掛けより根掛かりの危険性が高まります。足元や近投向きです。
這わせ仕掛けで根掛かりが連発する、岩の隙間に挟まってクエが餌を捕食できないであろうときは宙釣り仕掛けの出番になります。
関東の磯で使われる本仕掛け
基本的に自分は上記2種類の仕掛けしか使いませんが、主に伊豆付近の磯で多く使われているのが本仕掛けです。
一般的なクエ釣り仕掛けはワイヤーとオモリ、針は全て別体式になっていますが、本仕掛けはこれらが全て一体となったものです。
特に足元からドン深かつ根掛かりが少ないようなポイントで、這わせて使うのに向いているのだと思います。
仕掛けが全て一体なので非常にシンプル、かつ結束点が少ないので強度の低下が起きずづらく、超大型を向いているのに向いています。
一方、最大のデメリットは捨て糸を使わないため、ワイヤー本体・オモリ・針とどこかしらが根掛かりすると回収不可になる点。
以前何度か使ったことがありますが、根掛かりしまくって使うのをやめました。この仕掛けで根掛かりをすると、全てを海底に残すことになるのでおすすめできません。
クエ釣りを自作するために必要なアイテム一覧
アイテム名 | 内容 |
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スリーブ止め |
ワイヤーカッター | ワイヤー切断用 |
スリーブ | S〜4N |
被覆用チューブ | ワイヤーの保護 |
サルカン | 2/0〜5/0 |
コークサルカン | 2/0〜5/0 |
誘導天秤 | オモリ結束用 |
クッションゴム | 天秤のクッション |
クエ針 | 30号〜50号 |
ワイヤー | 34番〜28番 |
クエ釣りの仕掛けを自作するにあたり、必要なアイテムを上記にまとめました。
ワイヤー結束用のアイテムが多いですが、ワイヤーでなくナイロンやフロロを使用する場合でも、太糸だと直結できないので全て必要になります。
それぞれ自身でも使っているアイテムも含め紹介します。
ハンドプレッサー、ワイヤーカッター
ワイヤーをスリーブ止めするために必要なハンドプレッサー、ワイヤーを途中でカットするために必要なワイヤーカッター。
ハンドプレッサーは何種類か使いましたが、ものによって作業効率が段違いで変わるので、量産するなら「釣武者 ハンドクランプV6 Ⅱ」が圧倒的に使いやすかったです。
ワイヤーカッターはAmazonで売っている安物でOKです。
スリーブ、被覆用チューブ
スリーブは「YAMASHITA ダルマクリップ」をS〜4Nまで揃えておけばどんなワイヤーでも大体固定できます。
被覆チューブはサルカン等に直接当たる部分につけるもので、少しでも摩擦や負荷を減らすために使用しています。
こちらも色々種類がありますが、布系素材の「釣武者 スパルタチューブ」か、ビニール系素材の「YAMASHITA LPビニール管」を使用。
サルカン、コークサルカン、誘導天秤、クッションゴム
ラインを結束するサルカン、ハリスワイヤーを脱着するコークサルカンは使用するタックルや狙う最大サイズに合わせて大きさを変えます。
誘導天秤はオモリ用の捨て糸を結束する際に必要なパーツです。天秤の下にはクッションゴムを装着します。
様々なサイズがありますが、直線強度は2/0以上なら十分。あまりサイズが大きいとパーツ自体が根掛かりするため、基本的には小さいほうがいいです。
▼タックルや最大サイズ別に使用するサルカン(目安)
サイズ | 対象魚 |
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3/0〜5/0、クエ専用M〜L | 〜40kg、クエ専用タックル |
クエ専用サルカンLL以上 | 〜50kg、クエ専用タックル |
ワイヤー
瀬ズレ、ハリスともに必要となるワイヤー。色々種類がありますが、自分はしなやかで食い込みがよく、耐久性もある「ワイロン」しか使いません。
名前の通り外側がワイヤー被覆、内側がナイロンの2重になっています。瀬ズレとハリスで種類を分けたりしますが、自分は両方ともワイロンです。
唯一のデメリットは根に擦れた時などに、被覆が剥がれてしまうことぐらい。自分は仕掛けを量産するので大量買いしてます。
▼最大サイズ別に適正なワイロン号数
号数 | 最大サイズ |
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32番〜30番 | 40kgまで |
28番〜26番 | 50kg以上 |
※直線強度は34番でも72kgあるので全く問題ないです
クエ針
クエ針はいくつか選択肢がありますが、根掛かりしづらいネムリ針の「オーナー スーパームツ」か、針掛かりしやすい「CAMEX 最強クエ」の2種類しか使いません。
根掛かりの有無とクエの活性によって使いわけますが、基本はスーパームツがあれば問題ありません。
針の種類もそうですが、常時根に針先が触れるため、針先の鋭さを常時保っておくことのほうが大事。
▼最大サイズ別に適正な針の号数
号数 | 最大サイズ |
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35号 | 20kgまでのライトタックル |
40号〜50号 | 20kg以上のクエ専用タックル |
※クエは口が大きいため、小アラでも40号で普通に針掛かりします。基本は大きい号数を使うほうがいいです。また餌のサイズに合わせて使い分けます。
仕掛けを作る方法を解説
それでは、具体的な仕掛けの作り方を紹介していきます。慣れるとめちゃくちゃ簡単に作れちゃうので、簡単に量産できますよ。
今回は瀬ズレワイヤーを制作しますが、パーツを変えれば簡単にハリスワイヤー・針も作れます。
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- ハンドプレッサー
- ワイヤーカッター
- サルカン1個
- コークサルカン1個
- スリーブ4個
- ワイヤー(約1ヒロ)
- 被覆チューブ(3〜4cm)2個
まずワイヤーの先端にスリーブ2つと、被覆チューブを通します。
サルカンを通したあと、スリーブのもう一方の穴にワイヤーを通します。この時点で2つのスリーブをどのあたりに固定するか決めておきます。
スリーブの位置が決まったら、ハンドプレッサーでプレスして固定します。スリーブのサイズごとに対応する穴の大きさが決まっています。
今回は2Nのスリーブを使っているので、2Nの穴を使用。ちなみにスリーブの両端を固定すると切れやすくなるので、真ん中を一回プレスすればOK。
サルカン側のスリーブが完成しました!ここまで慣れれば10秒かかりません。
続いてワイヤーの長さを決め、引き出したあとワイヤーカッターで切断します。
長さは自分の好みでいいんですが、自分の場合は瀬ズレワイヤーは約1ヒロちょい(2mないぐらい)、ハリスワイヤーは4〜50cmで作っています。
続いて、反対側のワイヤー先端から誘導天秤、クッションゴム、スリーブ2連、被覆チューブ、最後にコークサルカンを通します。
ちなみによくあるミスが、天秤やゴムを通さずにスリーブを締めてしまうこと。こうなると一度ワイヤーを切ってもう一度つけないといけません。
サルカン側と同様に反対側もスリーブを固定し、瀬ズレワイヤーが完成!何も難しいことはなく、誰でも簡単に作れます。
ハリスワイヤーはこんな感じ。針を指振りにするために、オーナーのクエパーツが結構便利に使えます。
制作した仕掛けはダイソーで販売している書き込めるチャック袋のB6サイズに入れて、ビニールケースかメッシュケースに収納しています。
環境や餌によって仕掛けを使い分けることがあるので、このような仕掛けケースがあると便利です!
最後に:始めは既製品のクエ仕掛けも全然あり
というわけで、今回はクエ釣りの仕掛け種類と作り方について、かなり詳細まで解説してみました!
この記事を参考にしていただければ、全くの0から仕掛けを制作できます。ただ、初心者の人にはぶっちゃけハードル高いと思います。
やっていくとこだわりが出て自分で作りたくなるんですが、最初のうちは数は少ないものの既製品の仕掛けから始めるのもありです。
ちなみに堤防からの小アラ狙いなら、ナイロンやフロロをサルカンや針直結でも問題ありません。
ぜひ参考にしていただけると嬉しいです!