南西諸島や沖縄諸島を中心に狙える、最大10kgオーバーになる磯の暴君”スジアラ”。同重量ならあのクエより引きが強い魚です。
鹿児島南部、屋久島、奄美大島など様々な場所で狙い、最大81cm・8.4kgのスジアラをはじめ複数匹の個体を仕留めることに成功!
沖縄3大高級魚の1種としても有名で、食味も個人的にクエよりも美味です。磯の釣魚として最高峰の一角を担う魚ですね。
今回はこれまでの経験を踏まえて、スジアラをブッコミ釣りで狙う方法、タックル、仕掛け、釣るコツなどについて解説していきます!
スジアラの生息地 | 黒潮・対馬暖流の影響下にある釣り場にいる
▼スジアラ釣りで有名なポイント |
- 関東:伊豆周辺
- 関西:和歌山県南部
- 四国:高知・愛媛県南部
- 九州北部:対馬・五島列島
- 九州南部:鹿児島南薩・甑島・薩南諸島
- 沖縄:全域
スジアラは主に長崎県の対馬・五島列島を北限とし、伊豆諸島、南紀和歌山、四国南部、鹿児島県南部、沖縄列島に生息しています。
全国では鹿児島県甑島で数釣りができることで有名で、夏のシーズン中はスジアラをメイン魚種として瀬渡し船が出るほど。
高水温域に生息する魚ですが、近年の温暖化で生息地が拡大しており、静岡の駿河湾でも普通に釣れるようになっているようです!
スジアラの生態 | 基本は日中に行動し大きく回遊する
△水中カメラを落とすと、岩陰にスジアラの姿が・・・。
スジアラは一見するとクエにフォルムが似ているので、「夜釣りで狙う魚なのかな?」と思いきや・・・基本的に夜は釣れません。
全く夜釣りで釣れないわけではないでしょうが、日中に捕食活動を行う魚なので昼間の釣果がダントツで多いです。
夜釣りで狙える魚種と生息域やシーズンが被っているため、日中はスジアラ狙い、夜はクエやシブダイ狙いと最高に贅沢な釣りができます。
△ポイントによってはクエと同時に狙える
さらにクエと生態が異なる点として、クエは単独行動で巣の周辺のみ行動するのに対し、スジアラは群れをなして回遊することがあること。
非常に遊泳力が高く、底生生物だけでなく積極的に中層の魚も捕食し、場合によっては表層に追い込んで大規模ナブラを起こすことも。
ブッコミ釣りで狙う場合も、一箇所に餌を置くのではなく積極的に打ち返し、場合によっては針一本で餌を潮に流すような釣りも有効です。
大型スジアラも獲れるタックル |最強のブッコミ釣りタックルはこれ!
種類 | タックル |
---|---|
ロッド | 石鯛竿H〜HH、ライトクエ竿 |
リール | 大型石鯛リール、小型トローリングリール |
ライン | ナイロン24号〜40号、PE12号〜30号 |
仕掛け | 瀬ズレワイヤー#32、ハリスワイヤー#34前後 |
針 | 石鯛針・タマン20号以上、クエ針30号以上 |
HHクラスの石鯛竿かライトクエタックルが最強です
大型スジアラを獲るために必要なタックルですが、最低でも石鯛タックル、可能ならクチジロ用かライトクエ用があれば最高。
スジアラの引きは強烈で同重量ならクエをも凌ぎます。8.4kgを掛けたときは石鯛竿ですら、一瞬のされてしまいました。
基本は石鯛竿があれば問題ありませんが、大型個体まで想定して15kgまでのクエを対象にしたライトクエタックルがあれば確実。
自身は15kg程度までのクエをスタンディングで獲るためのロッド「WILD SEEKER 453HH」を現在開発中で、こちらを使用しています。
通常の石鯛竿より2ランクほどパワーが強く、実際に13.5kgのクエまで手持ちで釣り上げました。
ライトクエ竿があると10kgオーバーのスジアラにも対抗できるほか、日中はスジアラ、夜はクエ狙いが同じ竿で可能になります。
スジアラ用ブッコミ釣り仕掛け | ライトクエとほぼ同じでOK
- メインライン:PE12号〜20号 or ナイロン20号〜30号 100m以上
- 瀬ズレワイヤー:ワイロン#30〜#32番
- ハリスワイヤー:ワイロン#32〜#34番
- 針:スーパームツ30号〜40号 or タマン針20号〜24号
- オモリ:次世代型鉄オモリ ウェイロン30号〜50号
仕掛けに関しても、ライトクエと同様でOK。自身は瀬ズレワイヤー#32を1ヒロ、ハリスワイヤー#34を40cm程度で使用しています。
スジアラはワイヤー仕掛けを使用しても釣果が落ちず、むしろ根に張り付く魚でナイロンやフロロだと切られる可能性が高まります。
ただ針だけは餌のサイズがクエより小さくなることが多いため、石鯛針やタマン20号前後を使用することが多いです。
スジアラにおすすめの餌 | これが一番釣れます!
△キビナゴの房掛けが食い、コスパともに最強です
種類 | おすすめ度 |
---|---|
キビナゴ | ★★★ |
サンマ | ★★★ |
イワシ | ★★★ |
アジ | ★☆☆ |
サバ | ★★☆ |
イカ | ★★☆ |
クエ釣りでは冷凍サバなど大型の餌を使うことが多いですが、自分の体感ではスジアラ狙いの場合、小さめの餌のほうが釣れる印象があります。
両魚種とも口の大きい魚ですし、大きなグレなどの魚を丸呑みすることもありますが・・・小さい餌のほうが食いが良いイメージ。
キビナゴの房掛けが最強、次点でサンマやイワシの切り身です。餌取りには極端に弱いですが、どのみち頻繁に打ち返すので問題ありません。
スジアラを一匹でも多く釣るコツとは?
扇状にポイントを探って何度も打ち返す
△特に頻繁に誘いをかける戦術が有効な魚です
次に、個体数の少ないスジアラを少しでも多くブッコミ釣りで釣るコツを解説していきます。最も重要なのは、頻繁に打ち返すこと!
例えばクエ釣りやシブダイ狙いのブッコミ釣りでは、仕掛けを放り込んでから最低でも5分〜10分は置いておきます。
一方、自分はスジアラ狙いでブッコミ釣りをする際は2分〜3分で仕掛けをあげるか、誘いをかけます。
スジアラは回遊性の高い魚で表層〜底層まで回遊するのと、落ちてくる餌に積極的に反応することから、頻繁に誘いをかける戦術が有効。
また一点だけを攻めるのではなく、扇状に投げて周囲をくまなく探ります。ワームでロックフィッシュを狙うイメージです。
スジアラが釣れるような場所・時期なら餌取りも多いし、どのみち日中なら一瞬で餌を取られるので理にかなっているんですよね。
完全フカセで潮下に餌を単体で流すのもアリ
裏技として、潮下に流れが効いているような状況なら針にイワシなどを一匹掛けにして、スルルー釣りのように流すのもあり。
実はこの釣法、イカやイワシを沖磯で流すと全くラインが止まらないアタリが来ることもあるので、侮れません・・・!
流れがない状況でも、フリーで落としていくことで表層〜底層まで探れるのと、ブッコミ仕掛けには当たってこない魚まで釣れる可能性があります。
撒き餌も一定有効です
スジアラ狙いでは撒き餌必須のクエ狙いと違い、あまり餌を撒きません。日中は捕食の際に視覚頼りになるからか、それほど有効ではない印象。
ただ撒かないよりは撒いたほうがよく、臭いの強いサバの切り身などよりも、キビナゴなど視覚で訴えかける撒き餌のほうが効く印象です。
大量のキビナゴをもし用意できれば、スルルー釣りのようにパラパラと潮に乗せて撒くことで幅広く魚を寄せることが可能。
最後に:タックルだけは妥協するとマジで後悔します
△8.4kgのスジアラを掛けた際、伸されて切られそうになった
ということで、今回は磯の暴君「スジアラ」を釣るコツやタックル、仕掛け、餌について解説してみました。
生息域が限られているのと、個体数が少ないので簡単には釣れない魚ですが、遠征先で何度も狙い続けることで複数匹釣ることができました。
これからスジアラを狙う人にアドバイスするとしたら、タックルだけは妥協なく強力なものを用意したほうがいい、ということ。
△瀬際で掛けたが、為す術なくハリス18号が切られる・・・。
少し前から6号程度の磯竿を使ってスルルー釣りでスジアラを狙う釣法が流行っていますが、10kg近い個体を磯から釣るには貧弱すぎます。
自分が初めてスジアラを掛けたのはスルルー釣りで、磯竿の中では最強のSHIMANO ベイシスBG6号という竿を使ってましたが、あっさり切られました・・・。
石鯛竿ですら伸されるぐらい凄まじい引きの魚なので、確実に獲りたいなら最低でもスピニングではなく両軸タックルをおすすめします。
▼ライトクエ用のおすすめタックルは下記で解説しています。