大型のクエを磯で仕留めようと思うと、専用のクエ竿だけでなく竿を固定する「板バネ・竿受け」が必須になります。
特に30kg以上のクエを人力で釣り上げるのは現実的ではないため、基本的に竿を地面に固定して釣ります。その際に大活躍するのがクエ用竿受け。
相手が大型魚になればなるほど、竿受けにいかに仕事をさせるか、でクエが獲れるかどうか決まるといっても過言ではないです。
今回は大型クエを仕留めるために必須の板バネ・竿受け・ピトン類のおすすめ製品と選び方について解説していきます!
クエ釣りにおける板バネ・竿受けの役目
まず固定式のクエ釣りにはなぜ板バネ・竿受けが必要なのか?ですが、主に2つの役割が求められます。
- 竿を地面に固定してクエのアタリを待つ
- 魚が掛かった際の竿への荷重を分散する
前者は一般的にブッコミ釣りと同じで、特に個体数の少ないクエはいつ掛かるかわからないので、置き竿状態にするのに必要となります。
一方、後者の「ヒットした際の竿への荷重分散」がクエ用板バネ・竿受け独自の機能で、これがないと最悪竿がへし折れます。
横走りするGTなどと違いクエは真っ先に根へ突っ込む魚であり、強引にでも止める必要がありますが、掛かった瞬間に凄まじい負荷が竿にかかります。
いくら最強のクエ竿といえども、真下に数十キロの力で一気に引っ張られれば破損する危険性があり、この負荷を軽減するのが最大の役目です。
板バネは機構としては車用のものと同じで、サスペンションとなって衝撃を吸収します。竿受けには直接バネがついています。
設置がやや難しいのと、大型外道の横走りに極端に弱い・・・など色々デメリットはありますが、それを補って余りあるメリットがあります。
大型クエ狙いならピトンはNG
大前提として小アラならともかく、大型クエを最初から狙うならピトンタイプは絶対にNG。
30kgクラスのクエを掛けると想像以上の荷重が竿にかかると想定されますが、ピトンは板バネと違って機構的に荷重分散ができません。
それどころか竿の性能を発揮する前に根本の棒部分が折れて魚をバラしてしまいます。バラすだけならいいですが、最悪竿ごと失います。
自身は15kg程度までのクエを狙うライトタックルでも、必ずアンカーボルトを使用して地面に固定するタイプの竿受けを使います。
竿受けが地面から離れれば離れるほどテコの原理で破損する危険性が高まるため。直接地面に設置していれば竿受けが破損するリスクを減らせます。
大物釣り場に行くと、途中で折れたであろうピトンの残骸を良く見かけます…。僕は後悔したくないのでクエ釣りでピトンは絶対使いません。
クエ用の板バネ・竿受けの種類とおすすめ製品
釣房エム アラサスシリーズ
続いて、クエ用板バネのおすすめ製品を紹介していきます!おそらく最も実績が多く、信頼性も高いのが釣房エムのアラサスシリーズ。
最近は様々な種類の板バネを見るようになり、本体素材が鉄やステンレスのものが増えている一方、アラサスはFRPになります。
FRPは船やスキー板に使われる複合樹脂素材で、クエの引きでも柔軟に反発しながら耐久性が非常に高く、板バネとして最優秀の素材になります。
逆に鉄やステンレスは製品にもよりますが、硬すぎて反発せずクエ竿の衝撃を吸収する前に竿が折れるかラインが切れます(笑)
自身もアラサススタンダードで18kgのクエ、23kgのヒレナガカンパチ、その他100kg超級のエイは何度も掛けてますが、まだ余裕があります。
デメリットはチタン以外は重いのと入手が困難なこと、品質は高い一方で価格が高いことですね。
自己責任にはなりますが…板バネ素材がFRPであることが重要なので、メルカリ等で個人作の信頼性が高く、安い製品を探すのもありだとは思います。
※個人作のものを使う場合は釣行前に必ず耐久試験を行なってください。魚が掛かって破損した場合、最悪事故に繋がる可能性がありあす。
MUGEN カーボン板バネシリーズ
カーボンを本体に使用している珍しい板バネで、何より非常に軽いことが最大の特徴。
なおかつカーボンなので耐久性も申し分なく、大型外道が少ない地域ではこの板バネをメインで使用しています。
2種類あるうち自分は軽量なモデルを使ってますが、FRPと比べて圧倒的に軽いです!地磯釣行にはめちゃくちゃ役立ってます。
デメリットは価格がアラサスよりも高いことと、一番はカーボンなので傷に弱いであろうこと。
実際に使用した感想としては、メイン板バネよりもサブとして購入し、状況に応じて使い分けるような人にはいいと思います。
北部九州や隠岐など外道が少ない場所でのみ釣りする人にはいいんですが、南方まで遠征する人にはあまり向いてないと思います。
クラフト闇工房 板バネシリーズ
沖縄で個人の方が生産されている板バネで、打ち込み釣り用のミニサイズとアラ用の大型サイズがあります。
自分はミニサイズしか使ってませんが、FRP素材で頑強、耐久性は申し分ありませんでした。アラ用も同様かと思われます。
アラサスなどの板バネと違いボルトでの高さ調整ができないこと、生産量が少なく入手が難しいことなど難点もあります。
晶栄 NEW海覇
珍しいピトンタイプのクエ用竿受け。前述した通り大型クエ狙いならおすすめしませんが、小アラ狙いと割り切って使うならアリだと思います。
というのもこの手のピトンタイプのメリットとして、板バネと違いアンカーの設置場所を選ばずお手軽に釣りできる点が挙げられます。
ピトンの棒部分もアラ用に合わせて短くなっているので、通常のピトンよりは折れづらくなっています。
まぁ、自分は必要性を感じず売ってしまいましたが…。10kgまでのクエがメインになる場所なら全然アリだと思います。
クエ用の板バネ・竿受けを使用する際の注意点
板バネによってアンカー穴のピッチが異なる
板バネを設置する際、少しでも確実に地面へ固定するためアンカーボルトを使用するのが一般的です。
人気の底物釣り場には大抵アンカーが設置されていますが、よく既存のアンカーはあるが板バネが設置できない!という問題に直面します。
なぜかというと、大抵の板バネは縦に2連でアンカー用の穴が付けられており、この2つの穴の幅が製品によって異なるからです。
アンカー穴が2連になっている理由は少しでも地面への設置力を上げるためですが…アラサスなんかはモデルによっても幅が異なります。
なんでやねん!!!統一規格作ってくれ!!!既存アンカーがあるのに後から馬鹿みたいに設置しまくってる人が多い理由の一つがこれ。
板バネの場合はアンカーが設置されているからといって、必ずしも自分のものと適合するかわからないので要注意。
※最も使用者が多いであろうアラサススタンダートとMUGENカーボン板バネは穴の幅が同じで、適合するピッチでアンカーが設置されていることが多いです。
地面の形状によっては設置できない
△この釣り場は凹凸が激しく、一箇所しか設置場所がなかった
板バネはアンカー2連かつ、前側を2点のボルトで支える形なので、ある程度平面が続く場所でないと設置できません。
よほど起伏の激しい磯でない限り、全く板バネが使えない場所は滅多にありませんが・・・ただ設置場所が限られるケースは多いです。
自分がクエ釣りをする際に釣り場へ到着してすぐやるのは、既存のアンカーは使えるか、使えない場合は板バネの設置場所があるか、です。
直線上の負荷には強いが横走りには弱い
板バネ最大の弱点として、直線上の負荷は板バネがしなるので最強クラスの強度を誇りますが、横走りされると捻れるので弱いという点があります。
クエは沖に走っても左右に横走りすることはありませんが、エイやサメを掛けると横に走って板バネのパワーを全く活かせなくなります。
超大型外道が多い場所や、最初から青物系をクエ竿で狙う場合は奄美式4点張りというロープを4本張って竿を固定する方法が使われます。
他にもクエ竿か板バネに2点左右からロープを張り、多少横走りに強くする方法もあります。
自分は一度板バネ使用中に推定200kgの超大型マダラエイがヒットし、強引にやり取りをしたら竿がぶち折れてしまいました(汗)
特に超大型外道が掛かりやすい南方離島などでは、常に巨大外道が掛かった際はどうするか?を考えておく必要があります。
最後に:価格は高いが竿と同様に妥協はNG
というわけで今回は、大型クエを仕留めるための板バネ・竿受けについて解説してみました。
クエ釣りにおいて板バネは竿と同様に最も重要な道具であり、一番妥協してはいけない部分になります。
さらにいうと、下手な板バネを使ったり、使い方を誤ると最悪死亡事故が起きる可能性があります。それだけ危険な釣りです。
特に人気の板バネは品薄状態かつ高価なので簡単には手に入りませんが、最悪釣行を遅らせてでも良いものを揃えるべきです!
▼クエ釣りの基礎知識については下記で解説しています。